子猫子犬のご飯、肥満と寿命の関係
今日は成長期のごはんについてお話しようと思います。
というのも、
この数年、新しく迎え入れた子猫子犬にあたえるご飯の量があまりに多いことがよくあります😲
中にはひどい下痢を起こしたり、
若くして過度の肥満になっていたりと、
栄養の過剰摂取が健康に悪影響をおよぼしているケースがあります。
そこで今回は、栄養過剰が動物に及ぼす悪影響、
その中でも「肥満」についてすすめていきます。
肥満のタイプについて
まず肥満には
①細胞増殖型➁細胞肥大型③混合型の3つのタイプがあると言わています。
体を箱に、脂肪細胞を風船🎈に例えると、
風船をたくさん詰め込んで箱がぎゅうぎゅうになっているのが①、
1つ1つの風船が大きく膨らんで箱がぎゅうぎゅうなのが➁です。
成長期の肥満は①タイプに、成熟期以降は➁タイプになりやすいと言われています。
また、①タイプの肥満は減量が難しいとも言われています。
成長期の肥満は一生を左右させる!?
多くの場合、生後2~4ヵ月ぐらいでお家に迎え入れると思います。
一番かわいい時期+見るからに成長期真っ盛りです。
しかも、多くの子はご飯をあげればあげるだけ食べちゃうので、
あれ?ご飯足りないのかな??なんて感じで
ついついご飯を与えすぎてしまうことが非常に多い時期です。
ですが、この時期に栄養過多が続くと、上記の通り、
ペットが減量の難しいタイプ①の肥満になりやすいです。
そして、成熟期以降も栄養過多が続くと、
もともと増えていた脂肪細胞の1つ1つが大きく膨らむタイプ➁の肥満にもなり、
肥満が急加速してしまいます。
こうなると適正体重に戻るのはかなり厳しいでしょう。
ついつい色々あげたくなる可愛い時期ですが、
今後健康に長生きしてほしいので、あげすぎには注意してください。
肥満はペットの寿命を短くする
肥満は良くないのはなんとなく分かるけども、
実際どれぐらいペットの体に影響を及ぼすのか。
この疑問について、答えとなる研究があるのでご紹介します。
2019年に約5万頭の避妊去勢されている中年の犬を対象に、肥満が寿命に関係するのかを調べた研究があります。
小型犬から大型犬まで犬種ごとに肥満と適正体重の子を比べて研究を行いました。
結果は肥満の犬は適正体重の犬に比べ、寿命が短くなることが分かりました。
特にこの影響は小型犬で強くなりました。
一番影響を受けた犬種はヨークシャーテリアで、肥満の場合は約3歳ほど短命という結果でした。
3年一緒にいられるかどうかってかなりでかいですよね😲
大型犬は小型犬ほど影響はないものの、
適正体重の子に比べやはり短命になるという結果となりました。
このように肥満により寿命が短くなるという結果が出てきている以上は、ご飯、おやつのあげすぎは軽視できません。
動物が可愛いならなおさら、好きな物を与えすぎずに
しっかりとコントロールしていただきたいなと思います。
成長期のご飯の量、多すぎませんか?
話は一番最初に戻り、
お家に迎えた成長期のワンちゃん、ネコちゃんのご飯の量がなぜ多いのか。
実は、診察時にお聞きすると、
かなりの割合で、
「もらってきた際に言われたとおりにあげています」
という答えが返ってきます。
つまり最初の指示がそもそも間違っているんですね。
そして、それを飼い主のかたが気付くはずもなく、
来院時には結構太ってしまっている。
そんな悲しいことが多い今日この頃です。
中~大型犬や一部の品種を除き、
子犬子猫の成長は非常に早くダイナミックに進みます。それに伴い栄養要求量も多いのは間違いありません。その為、栄養不足を起こさぬように多めの量で指示が設定されているんじゃないかと思います。
が、しかし、
成長期は皆さんが考えてる以上に早くピークアウトします。
なのでいつまでも成長していると思い、
ご飯の量を増やし続けていくとかなりの肥満になりますのでご注意ください。
ご飯の量をどう決めればいい?
では、結局のところどうすればいいのか。
まずは、貰って来た際の指示に従いご飯をあげましょう。もしかしたらご飯の量が多いかもしれませんが、まだ成長期。
その後、適正量に戻してあげればまず肥満は解消していくはずです。
次にお近くの病院に行き動物の健康状態をみてもらい、フードのアドバイスを貰いましょう。
成長スピード、体格、活動量などは様々なため、
残念ながら一度の診察で完全な答えは出ません。
しばらくの間はおよそ1ヵ月に1回は受診することをおすすめします。
月1回の来院は大変だと思いますが、
成長期をいかに健康に過ごせるかが将来の健やかな長寿に繋がっていきます。
ぜひ、頑張って貰えたらと思います。
話は少し変わりますが、ペットを迎え入れる際に、
今までペットショップなどで使っていたフードを契約されることがあるそうですが、個人的にはおススメできません。費用面や買いにく面倒がないなどメリットも勿論あるでしょう。
しかし、生後1年ほどはさまざまな理由でご飯を変更することが多いので、ご飯を選択できるメリットのほうが動物にとって有益だと思っています。
色々と書いてきましたが、
まとめてしまうと、
ワンちゃんネコちゃんに元気長生きして欲しいので、体重管理、特に成長期は注意して欲しい。
ご飯の種類や量について分からない事はお近くの病院に相談しましょう!
という、そんな内容でした。
肥満で寿命が減るんだ・・・気をつけないと!と
少しでも意識の変化をしていただけたなら
嬉しいかぎりです。
とはいえ、愛するペットにいっぱい食べてもらう嬉しさや喜びもありますよね。
なので飼い主のかた、動物病院のスタッフ、そして当のワンちゃんネコちゃん皆で頭を悩ましながら
食事方法を考えていけたらと思っています。
なにかご不明な点やご心配事がございましたら気兼ねなく診察中にお聞きください。
千葉県船橋市
三咲動物病院
TEL 047-447-5858
土曜日曜も診察しております。
水曜・祝日は終日休診となります。