犬・猫の皮膚病 膿皮症について

動物病院でみる皮膚病で最も多いのが膿皮症です。
今回は膿皮症について知って頂き、
膿皮症に対して少しでも意識を変えてもらえたら幸いです。
膿皮症って?
動物の皮膚には様々な細菌が住んでいます。
皮膚の正常なバランスがなにかが原因で崩れると、菌のバランスも崩れてしまい、いわゆる悪玉菌が皮膚に症状を引き起こします。
これが膿皮症です。
犬では非常に一般的な皮膚病ですが、猫はなりづらいと言われています。
よく見られる症状は
・痒がる
・脱毛
・皮膚が赤い
・皮膚がガサガサ
・皮膚にかさぶた様のものができる
・ふけがよくでる
・ニキビみたいな白いつぶができる
・皮膚がジュクジュクしてる
などです。
これらの症状は、
ごく一部に局所的にでることもあれば、体全体に散在したりもします。
来院前の注意点
注意して頂きたいことは2つあります。
1つ目は、
できれば来院前の数日間、シャンプーなどのケアをしないでいただけると助かります。ケアをしていると、検査・診断に影響がでることがあります。
2つ目は、
外部寄生虫(ノミ、マダニ、疥癬など)がいることが事前に分かっている場合は、予約時または来院受付時にその旨をスタッフにお伝えください。
他の患者様への感染防止にご協力をお願いいたします。
元の原因が大事
膿皮症は何かが原因で、
皮膚の正常性が崩れることで発症します。
高温多湿などの環境変化、
ブラッシングなどの物理的刺激、
寄生虫の感染、
真菌の感染、
アトピーやアレルギー、
ホルモン疾患、皮膚腫瘍などが考えられます。
その為、皮膚科検査に加えて、
血液検査や各種画像検査などの全身的な検査が必要になることがあります。
治療について
治療方法は、
局所抗菌療法(外用剤)か
全身抗菌療法(抗菌剤内服)です。
膿皮症の多くは、外用剤で治療が可能だと言われています。
また、使用するシャンプーや消毒剤に対して耐性菌が生じる可能性は低いです。
一方、抗菌剤内服の全身療法は薬剤耐性菌を生じるリスクがあります。薬剤耐性菌は治療を受けている動物にとって様々なリスクになるだけでなく、飼い主の方や同居動物へも影響を及ぼす懸念があります。
その為、現在はなるべく外用剤による治療が推奨されていますが、
週に何度もシャンプーをしたり、
毎日消毒薬を塗るのは大変かと思います。
飼い主のかたの努力・ご協力なくしては成立しない治療方法です。
内服薬を処方された場合は、
自己判断で中止せずに治療を継続させましょう。
お薬を飲ませたはずが吐き出す、
家庭の事情で服用方法を守れないなど、投薬に関する心配事がある場合は必ずご相談ください。
基礎疾患への治療
基礎疾患が存在する場合は、
膿皮症の治療と並行してこれらの疾患も治療する事が重要になります。
まとめ
膿皮症はありふれた皮膚のトラブルで、多くの場合はシャンプーなどの外用療法、または、抗生剤の内服で治ります。
しかし、
時に基礎疾患が隠れていることがあります。
ここを見逃すと治らないばかりか、
治療の過程で耐性菌が生じ、
難治性になったり、
周りの人や動物に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、基礎疾患によっては生命に影響を与えることがあるので、
基礎疾患の治療も非常に重要です。
「よくある皮膚病だから大丈夫。」
から、
「なかなか侮れないな膿皮症。」
と、
少しでも意識が変わって頂けたら幸いです。
最後に、
皮膚病の治療は大変です。
外用剤で治療するにしても、
内服で治療するにしても、
治療の過程で不安なこと、お困りごとは、ささいな事でもなんでもご相談ください。
皆で最良の方法を探すこと、
それが一番早く治る道だと思います。
皮膚病でお困りのことがございましたら船橋市の三咲動物病院にご相談ください。
お気軽にお問い合わせください。047-447-5858診察時間9:00-12:00/16:00-19:00
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