猫の糖尿病について 体重の関係
今回は意外と多い?
猫の糖尿病について。
イギリスの研究「Epidemiology of Diabetes Mellitus among 193,435 Cats Attending Primary‐Care Veterinary Practices in England」を参考に書いていきます。
この研究は19万匹以上を対象として調べているため、それなりに信頼できるデータだと思います。
猫の糖尿病とは?
糖尿病とは、インスリンというホルモンが不足したり、うまく働かなくなったりして、血糖値が高い状態が続く病気です。
インスリンは、すい臓で作られ、血糖値を下げる働きを持っています。 猫の場合は、インスリンが作られていても効きにくくなるタイプ(インスリン抵抗性)が多いとされています。
この「効きにくさ」の原因は、
いわゆる生活習慣病的な要因(食べすぎ・運動不足・肥満)が関係していることが多いです。 また、ストレスや他の病気(基礎疾患)が隠れていることもあります。
この効きにくさを改善することができると、インスリン作用が復活し、日々のインスリン治療などから離脱できる可能性があります。
気付いてほしい。
猫の糖尿病のサイン
糖尿病になると、体に余った糖が尿に出てきます。糖は水分を引き付ける力がある為、おしっこの量が増えます。
その分、体が水分を欲しがるので、水をたくさん飲むようになります。
つまり、「多飲・多尿」が続くのがとても大きなサインです。
そのほかにも、
・食べているのに体重が減る
・食欲が増える
・食欲が落ちる
・嘔吐が続く
などがあります。
体重が重い猫ちゃんは要注意
今回のイギリスの研究では、体重が増えるほど糖尿病のリスクが高くなることがわかりました。
- 3kg未満の猫に比べて、
→ 4.0〜4.9kgの猫は約3倍
→ 5.0〜5.9kgの猫は約5倍
→ 6kg以上の猫は約10倍
リスクがあると報告されています。
私自身の臨床経験でも、6kgを超える猫ちゃんで糖尿病を発症するケースが多いと感じていましたが、 このデータからも、6kg以上はかなり高リスクだといえそうです。
さいごに
今回お伝えしたいことは、
「体重が重い猫ちゃんが、
最近よく水を飲んで、
おしっこの量も増えている時は、
糖尿病の可能性も考えて、
早めに動物病院を受診してほしい」ということです。
糖尿病は治療介入が遅れるほど深刻化していきますし、猫の糖尿病は早期に治療介入しインスリン抵抗性を改善できると治療から離脱できる可能性があるからです。
また、この研究では、体重以外にも年齢や猫種が糖尿病のリスクに関係していると報告されています。
そのあたりについては、また別の記事でご紹介しようと思います。
本記事は獣医師:佐藤(洋)が書いています。ご質問等ございましたらお気軽に診察時間内にお尋ねください。
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