犬の膿皮症と副腎皮質機能亢進症

動物病院でみる皮膚病で、
最も多いのが膿皮症です。
繰り返される膿皮症には基礎疾患が隠れていることがあります。
今回は膿皮症を引き起こす可能性があるホルモンの病気、
「副腎皮質機能亢進症」について解説します。

皮膚の正常性が崩れると、
皮膚の細菌バランスも崩れ、
菌が皮膚に感染症を起こします。
これが膿皮症です。
詳しくはhttps://chiba-misaki-ah.com/395/で解説しています。

副腎とはお腹の中の腎臓の近くにあり、ホルモンを作っています。
副腎の皮質という場所から過剰にホルモンが作られるようになる事を、副腎皮質機能亢進症といいます。
このホルモンは、俗にストレスホルモンなどと言われており、
血糖値上昇、血圧上昇、免疫抑制、タンパク分解、食欲増加など様々な作用があります。

犬では中~高齢になると発生率が上がります。
過剰ホルモンの影響によって免疫が落ちる為、様々な感染症が治りづらくなります。
また、ホルモンによって皮膚自体も脆弱になります。
そのため、皮膚の感染症である膿皮症が発生しやすく、かつ、治りづらくなります。
膿皮症などの感染症以外にも、
高血圧、糖尿病、血栓症、膵炎などを引き起こすことがあります。

副腎皮質機能亢進症を疑う時には以下の項目をチェックしましょう。

①犬の年齢が中年~高齢
➁飲水量が増えている(多飲)
③尿量が多い(多尿)
④食欲が増えいる
⑤太ってきた
⑥感染症が治らない、すぐ再発する
⑦毛が薄くなった。脱毛がすすむ
⑧呼吸が早い
などです。
これらの項目がいくつか当てはまる時は、病院に相談してみましょう。
特に➁多飲③多尿は非常によくみられる症状です。

ホルモンの数値は、動物の健康状態やストレスなどにより大きな変動があります。
その為、ホルモン値だけでなく、
全般的な血液検査、尿検査、画像検査などを組み合わせ診断する必要があります。
確定診断にはMRIなどの高度医療機器が必要になる場合もあります。

副腎皮質機能亢進症の治療は内科療法と外科療法に大別されます。

内科療法は原因を根本的に治す治療ではありません。
過剰に出ているホルモン量を調整することによって、
体への悪影響を抑えることを目的にしています。

外科療法は根本的な解決を期待できます。
しかしリスクが高い手術である為、慎重な判断が必要になります。

当院では外科療法は行っていないため、
外科療法をご希望の場合は高度医療が実施できる施設へご紹介いたします。

膿皮症は犬で最も多い皮膚トラブルですが、
その原因として、
副腎皮質機能亢進症が隠れている事があります。

副腎から分泌されるホルモンは体に非常に多くの影響を及ぼすため、
膿皮症だけでなく、より深刻な病気を引き起こすことがあります。

中高齢のわんちゃんが皮膚病を繰り返す時には、ホルモンに関連した他の症状(多飲、多尿など)がないかを観察しましょう。

わんちゃん、ねこちゃんの体調についてお困りごとがございましたら、
千葉県船橋市の三咲動物病院にお気軽にご相談ください。


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