犬の乳歯抜歯について1

先月は犬の去勢・避妊+乳歯の抜歯の組み合わせで手術をすることが多かったです。
そこで今回は、乳歯遺残と乳歯抜歯(主に犬歯の乳歯)についてまとめたいと思います。

1・乳歯は通常、生後6か月(~7カ月)で抜け落ちます

2・この時期を過ぎても乳歯が残っていることを乳歯遺残といいます

3・永久歯も同じ時期に生えて伸びてくる+伸びてくれる期間は限定的

4・乳歯遺残は、永久歯の歯列に影響を及ぼしたり、若い内から歯周病を引き起こす

5・乳歯を抜くときも、永久歯を守ることが大事

 以下、大まかに書いていきます。


犬の乳歯が抜ける時期

犬の乳歯は生後4か月ごろから抜け始め、生後6(~7か月)には全て抜けているのが普通です。
この時期を過ぎても乳歯が残っていることを乳歯遺残といいます。

左上顎の犬歯の乳歯遺残の症例写真。牙の後ろのカーブしている細い歯が乳歯です。通常、永久歯がこの写真の程度伸びている場合、乳歯は抜け落ちていないといけません。

大事なのは永久歯
この時期(生後4~7カ月)は永久歯(大人の歯)にとっては、生えて伸びていくための大事な時期です。
この大事な時期に乳歯があると永久歯が健常な方向に伸びていけないことがあります。
特に乳歯が残りやすいのが犬歯ですが、犬歯は長く尖っているため、この永久歯がでたらめな方向に伸びていってしまうと口の中を傷つけてしまいます。
犬歯以外の歯でも乳歯と永久歯が重なっている場所は汚れが溜まりやすく、若くして歯周病を引き起こしてしまったりと、乳歯を残しておくメリットは何もないと言えます。

左:犬の健常な歯列。中央:犬歯の永久歯の外側に乳歯(青線)がある場合。永久歯が押されてしまいます。青矢印は乳歯による永久歯への圧力のイメージ。白矢印は永久歯の歯軸のイメージ。右:乳歯に押され永久歯が口腔内の方へ変位してしまうイメージ像。特に犬歯の異常な歯列は口腔内トラブルにつながりやすいので注意が必要です。

 

永久歯が伸びきる前に乳歯を抜く
永久歯ですが、勿論いつまでも伸びてくれるわけじゃありません。
永久歯が乳歯に押されおかしな方向に伸び始めていても、まだ伸びしろがある早期の内に乳歯抜歯を行う事により、正しい方向に戻ってくれることが多いです。
残念ながら完全に永久歯が伸びきった状態では、乳歯抜歯だけでは歯列を戻すことは不可能となります。
レントゲン撮影を行うことによって、永久歯がまだ伸びてくれるかどうかの情報を得る事ができるので、麻酔処置の際にレントゲン撮影を組み合わせる事があります。

乳歯抜歯について
乳歯を抜く方法は病院によって様々だと思います。
何より大事なのは、永久歯を傷つけることなく抜歯することだと思っています。
歯肉の下に埋まっている歯根のラインを示したのが下の写真です。
この様に、乳歯の歯根と永久歯の歯根は非常に近接していますので、永久歯を傷つけないように注意が必要です。

歯根のイメージ図。緑点線は乳歯の歯根、青点線は隣接する永久歯の歯根を示します。乳歯抜歯時は近くにある永久歯の歯根を傷つけないように行う必要があります。

抜歯については次回まとめていきたいと思います。

今回のまとめ
永久歯の成長は期限があります。また、想定よりも短期間で急成長することもありますので、
生後4~6か月はこまめに健診を行い、乳歯遺残の有無や永久歯の生え方などについてしっかり把握してあげましょう